この作品は、外の瀬尾まいこの作品と一線を画する。学校現場における「いじめ」の実態を描くことを目的としているように感じた。要するに、明確なメッセージを発するための小説になっているという点で、外の作品とは一線を画しているように思えたのだ。
それゆえに瀬尾まいこらしい優しさは存在せず、どこか暴力的な一面も覗かせるのだ。多分この作品は、著者の教師としての実体験がふんだんに盛り込まれているんじゃないのだろうかと容易に推測できる。
ただ、小説としてみたときに高い評価を下せるかといえばNoだと感じた。
その理由は、いじめが起こる学校現場の糾弾に終始している感があり、小説としてのエンターテイメント性をどこか諦めている雰囲気が否めないからである。