川端康成はなんとなく苦手である。
伊豆の踊子であったり雪国といった作品を、どうしても好きになれない。
僕の中の美意識と、彼の美意識が違うのかもしれないし、
ただ単に僕の感受性が不足しているからなのかもしれない。
老いというものを一種のテーマにしているこの作品は、今の自分にしてみればよくわからない内容が多い。心理描写にしてみても、自分では全く理解できないことばかりで、感情移入ができない。それゆえにわからない。
淡々と進んでいく話は、一種の短編のようでありながら、全体として一つのまとまりをもっている。それぞれの話は繋がりながらも、完結している。その辺の文章力は相変わらずすごいと思うが、それ以上のことを感じられない。
この作品を普通に楽しめる大学生がいたら、尊敬したいと思ったりする。