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塩狩峠三浦綾子や遠藤周作などはキリスト教を主題とした作品を多く残しているため、彼らの作品の理解にはキリスト教の知識が必須となる。今の自分にはある程度の知識はあるものの、彼らの作品を理解しうるレベルのキリスト教に対する理解が欠けているため、理解に苦しむ部分がいくつかあった。これらを理解しきるためにもキリスト教をもう一度しっかりと学ぶ必要があると感じた。 主人公である永野信夫は、もともとはキリスト教が嫌いな人間であった。しかしこの嫌いというものは、キリスト教というものを理解していないが故の、嫌いであった。彼の祖母が嫌うキリスト教を、無条件で嫌っていたのであった。やがて彼は信仰に目覚め、神と共に生きる日々が始まるのであるが、その彼が信仰に目覚める場面が私としては印象的であった。それまでの過去が積み重なり、彼を信仰へと誘う過程の描き方が非常に上手いと感じたからであった。 信仰というものは、神を信じるだけではないのだと最近は思う。神を崇めるという行為は胡散臭いものを感じるが、信仰の中心はそこではないのだと思う。神の声を語ったものが宗教というものが一般的な理解だが、僕の中ではその逆の、一般市民の声を神が代弁したという形をとったものが宗教であるように今は思っている。よりよく生きるためにはどうしたらいいのか。それを子供に言って聞かせるには、親の声だけではなく、親を超越した何かの声が必要になる。その時に神を使い、信仰という形をもって子供達を教育していったのかもしれない。その対象が仏であろうがキリストであろうが、本質的な部分に差異はないように思える。神は手段であり、目的は社会を良くすることだとするのであれば、より良い宗教は何かという問いにも答えが出るような気がした。 何が言いたいのかよくわからなくなった。 宗教を扱った作品は、やはり今の僕には手に余る。
by pyababy
| 2009-08-08 01:27
| 本
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