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陽気なギャング。文庫化記念。 人の嘘を見破る達人、成瀬。正確に時間を計れる、雪子。 スリの達人、久遠。演説の達人、響野。 異色の四人が組んだときに生まれるケミストリーが、 誰にも危害を加えない奇跡の強盗を生み出す。 本作は、前半は四人それぞれの日常を描き、 後半は四人が組むことによって事件を解決していく構成になっている。 元々は別々の短編の予定だったらしいが、そこはさすが伊坂といったところ。 見事なまでにそれぞれの話が絶妙にリンクし、 結果としては1つの長編作品へと様変わりしていた。 陽気なギャングシリーズは、伊坂の中でも特に面白いと僕は思う。 なんというか、適度に軽い物語なのだ。 他の話は重い部分があったりするのだけれども (例えば、アヒルと鴨のペット殺し、ゴールデンスランバーのテーマそのものとか) この作品に関してはそのような重たさを感じさせる物が全くない。 それゆえに軽快に読むことが出来、落ちも勿論心地よい。 伊坂作品の一番の特徴は、独自の倫理観ではないかと思う。 世間一般では許されない悪事であったとしても、 作品を通して読んだ時には「許される悪事」になっているのである。 例えばこの作品の主人公達は、あくまで「銀行強盗」である。 しかし彼らは、許される悪党なのである。彼らの論理でいえば、 「不当に金を稼いでいる銀行からちょっとお金を借りるだけ」であり、 一般市民にとっての悪党ではないのである。 僕らの住む世界の倫理では悪いことである「銀行強盗」であったとしても、 1つ視点を変えて見れば「悪いことではなくなる」のであった。 その辺の視点の違いというか、考え方の違いというか、 物の見方の違いなんかが読んでいて惹き付ける要素なんだろうなと思う。 なんか後ろに載ってる解説とほとんど同じことを書いてしまったような気がする。 解説おそるべし。
by pyababy
| 2009-09-12 01:48
| 本
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