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コントロールではなく、動かすこと。古本屋で安く見つけたので購入。 今年はDHでの出場がメインながらも良い活躍をしていて、松井の結果を見るのが楽しみだったりする。ゴジラというニックネームで知られる彼は、インタビューに誠実に答える姿勢や、プレイヤーとしての野球に対しての心構えなどが、大リーグの選手からも尊敬されているそうだ。中学校以来嘘をついたことが無いだとか、そんな人格者的な話題も良く耳にする。確かに彼のインタビューはいつも丁寧だし、怒りをあらわにした松井というものも見たことがない。その辺のことが多少気になっていた。 本書によると 「腹が立ったり、不満が出てきたりするのは、仕方がありません。思ってしまうのだから、自分にも止められない。でも、口に出すか出さないかは、自分で決められます。そこに一線を画した方が、自分をコントロールできるような気がします。」(p65) とのことであった。 失敗と上手く付き合う知恵として、怒りを口に出さないということを実践しているそうである。確かに過去のことは反省するにしても、怒って自分を見失う利点はどこにも存在しない。それよりも変えていける未来のために今できることをすべきである。そんな理念の元、彼は常に不動心というものを意識しているそうだ。 この辺がプロだなあと素直に思った。 ついつい怒ってしまったり、目を向ける対象から目をそらしてしまったりしてしまうのだけれども、あえてそこから逃げずに向き合い、自分をコントロールし常に最高の状態で居続ける。そしてそれを一年間ずっと続ける。簡単に思えるこの難しい行為を当たり前のようにやってのける(本に書くだけでなく、インタビューを見れば一目瞭然である)ことは、本当に難しいことだと思うし尊敬出来ることだと思う。 後一点。 「人の心はコントロールできないと思います。でも、コントロールはできずとも、動かすことはできるのではないかと思っています。」(p79) この考え方は、常に心に留めておきたいと思った。僕が誰かを指導したりするときは、ついつい相手をコントロールしようとしてしまう。自分が何かをして相手を変えるなんて言うことはよくよく考えたら不可能である。変わるのは相手の意志によって行われることであり、僕が何をしようが関係ないからだ。でもそこで諦めるのではなくて、人の心を「動かす」方向にもっていけばよいのである。それならば、可能である。やる気のない相手にやる気を出せというのではなく、やる気を出したくなる状況をつくればいいのである。 第一線で活躍するプロの言葉は、どの分野の人間のものであったとしても普通の人間とは違う重みがある。プロ論というのはそれゆえに面白く読める。本書も例外ではなく、自分にとっては収穫の大きいものとなった。来年もヤンキースでやってほしいなあ。
by pyababy
| 2009-09-30 02:18
| 本
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