人気ブログランキング | 話題のタグを見る
日々垂れ流し。
by pyababy


名作の条件。

「意志があること。」
これが僕の考える名作の条件である。
映画でも音楽でも本でも漫画でも、これは何にでも共通するものだと思う。

具体的にどのようなものかと言われると、ちょっと答えにくいのだが、
見た時、聞いた時、読んだ時に肌で感じる「何か」が意志なのだと思っている。

多分それは、制作者にどうしても伝えたい「何か」があるからこそ生まれるものだと思う。
逆に言えば、その「何か」があったからこそ、その作品が生まれるのであろう。

伝えたい「何か」の為に書く本は、どれも名作だと僕は思っている。
でもその名作の中でも序列が生まれるのだが、
その理由は意志の強さというものになるのだと思う。

例えば、太宰治の『人間失格』や、夏目漱石の『こころ』などの古典文学は、
その意志の強さにだれもが心を奪われるからこそ、
多くの人間に名作として読まれ続けているのだと思っている。

僕がその「意志」に気付けるようになったのはつい最近のことである。
色々な作品を読み倒して、自分なりに著者達と議論を交わすうちに、
いつしか彼らが本当に書きたかった「何か」を感じられるようになった。

それと同時に、伝えたい「何か」が存在しない作品もあることを知ることとなった。

「事柄そのもののために書く者と、書くために書く者」
といったのはショペンハウエルであるが、
現代は後者の「書くために書く者」ばかりが溢れているように思う。

最近の小説がつまらなくなっただとか、最近の音楽は聞く価値がないだとか、
そんなことを思ってしまう背景には、目先の利益ばかり考え、
書くために書く者が世の中に溢れ、意志を失った作品ばかりを生み出したことが、
大きな原因なのだろう。

そのような人間が書いたものではなくて、
「事柄そのもののために書く者」が書いた、
「意志」の溢れる作品をもっと読みたいと思う。
by pyababy | 2010-01-13 23:49 | 日常
<< SEの読書術 -「本質を読む」... 2009年書籍ランキング >>